離婚調停で起こりやすいトラブルは?

相手方が調停に応じない

調停では、当事者双方から話を聞くことが義務付けられています。
そのため、どちらかが出頭してこなければ、解決の道をさぐりようもないので、結果として調停不成立になる確率が高いと言わざるを得ないでしょう。

ただし、裁判所としては、無断欠席を黙認しているわけではなく、再三にわたり出頭勧告を出したり、家庭裁判所の調査官が相手方を訪問して説得したりします。

それでも応じなければ5万円以下の罰金を科しますが、それ以上はどうすることもできません。
相手がかたくなに拒否している以上、調停を取り下げるか、調停不成立として離婚裁判を起こすしか方法はないでしょう。

不利な方向に話がまとまりそう

とくに離婚条件の調停では、自分の主張が必ずしも通るとは限りません。
相手も、言葉巧みに自分に有利になるように話をしてきます。
双方の話に食い違いがあれば、再度の聞き取りで、反論ができます。
言いたいことが調停委員に伝わらないときは、口頭ではなく簡潔にまとめた文書を提出するとよいでしょう。

要点のまとまらない話や感情的な反論は、調停委員の印象を悪くするだけです。
それよりは、冷静に事情を説明し、説明不足のところは文書で補うと、短い調停時間を有効に使えます。

調停中に財産を処分されそう

調停中に、相手が財産を処分したり、名義を変更したりする心配があれば、調停とは別に、保全処分を申し立てましょう。

調停中に夫婦共有の財産を守るには、強制執行力がない調停前の仮の措置と、強制執行力がある調停・審判前の保全処分とがあります。
相手が信頼できない場合は、当然ながら後者が有効です。
相手に悟られないように、調停の申し立てといっしょに保全処分の手続きをすませると安心です。

なお、処分禁止仮差し押さえなどの仮処分で財産を保全するには、保証金が必要です。
まずは、弁護士などに相談するとよいでしょう。

調停調書が守られない

調停調書には法的効力があります。
養育費などで、催促しても相手が支払わない場合は、家庭裁判所に相談して、必要な手立てを講じましょう。

裁判所には、支払いを促す履行勧告、期限を決めて支払いを命じる履行命令、給料差し押さえなどを行う強制執行の3段階の制度があります。
このほか、裁判所を介して金銭のやり取りをする寄託制度もあります。