判決を言い渡されたあとはどうする?

裁判官の下す判決は厳粛に受け止めて

審理を何度か重ねて、証拠調べや本人尋問が終わると、いよいよ裁判は結審します。
ここまで来る途中で和解も認諾も取り下げもせず、最後まで闘ってきたものの、勝つのはどちらか一方です。

離婚裁判での判決は、裁きではなく、あくまで法律による決着です。
破綻した夫婦が次にすすむためのあと押しと考えて、どちらも厳粛に受け止めてほしいものです。

判決に不満があれば控訴手続きを

日本の裁判は3審制なので、判決に不服があれば控訴することができます。
控訴した場合、場所を高等裁判所に移して裁判をやり直すことになります。

高等裁判所での控訴審では、3名の裁判官が厳しく事実審査を行います。
当然、次は勝てるという保証はなく、時間も労力もお金もかかります。
それでも判決を受け入れがたいというのなら、控訴するかは弁護士と相談してから決めること。
敗因をきちんと分析しておかないと、次も同じような結果になるだけです。
場合によっては、別の弁護士にも相談して意見を聞くことをおすすめします。

なお、控訴の手続きは、1審の判決から2週間以内に行わなければなりません。
弁護士を代えるなら、早めに弁護士選びをスタートさせましょう。

3審制と控訴、上告

同一事件を階級の違う裁判所で3回審理できる機会を与える制度。
離婚裁判の場合、離婚そのものだけでなく、財産分与や子どもの親権者指定などの要望もいっしょに審理されるので、判決への不服が一部であっても、高等裁判所に提訴して審理をやり直すことができます。
2審の判決にも不服があれば、最高裁判所へ上告できますが、上告理由に制限があり、認められる確率は非常に低くなります。

控訴する理由

  • 争点がずれてしまい、主張が認めてもらえなかった
  • 決定的な証拠がなくて、相手の有責を証明できなかった
  • 弁論や尋問がうまくできず、裁判官にアピールできなかった
  • 相手の戦術にはまり、慰謝料がとれない
  • どうしても離婚したい

控訴を断念した理由

  • 疲れた
  • 相手の気持ちが変わらない以上、離婚を受け入れるしかない
  • 弁護士に勝つのはむずかしいと言われた
  • 経済的にこれ以上の裁判は無理
  • 子どもの気持ちを考えて判決を受け入れた

控訴手続きのしかた

判決を不服として控訴する場合、期限までに控訴状を高等裁判所に提出します。
また、控訴状とは別に、控訴理由をまとめた書類を50日以内に提出します。
控訴の手続きを弁護士にまかせても、訴状や理由書には目を通しましょう。

控訴の棄却

控訴しても、必ずしも審理をやり直すとは限りません。
高等裁判所では裁判官たちが、控訴状や控訴理由、控訴された側からの答弁書、1審での記録などに目を通し、そこで「1審の判決は正当で、控訴理由なし」と判断すれば、控訴を棄却することがあるからです。

控訴の棄却とは、控訴人の請求を認めないということ。
控訴審では、控訴理由の範囲内で審理されるので、控訴人の主張が通らずに棄却されることが少なくありません。
棄却後は、即日結審することもあります。

裁判離婚が成立したら離婚手続きへ

判決から2週間たっても控訴の申請がなければ、判決が確定して裁判は終わります。
判決が離婚を認めるものであれば、ようやく裁判離婚が成立することになります。

ただし、そのままでは離婚の成立が戸籍に記載されないため、調停離婚同様、離婚届の提出が必要です。
判決確定日である裁判離婚の成立より10日以内に、訴訟を起こした側が判決書謄本判決確定証明書を添えて夫婦の本籍地か、住所地の役所に提出しなければなりません。
添付する書類は通常、弁護士が手配してくれますが、自分で交付手続きを行うこともできます。

なお、離婚届は協議離婚と同じ用紙を用い、相手の署名押印や証人は必要ありません。